2012/12/24

工事現場のソーラーライト

ソーラー発電とライトの組合せはいろんな場面で見かける。太陽光のエネルギーを蓄電して必要な時に光に戻す。
機能としては確立しているが、本当に有効な場面はどこにあるのか、その用途を見つけることは機能開発以上に重要です。
工事現場で最近よく見かけるこのソーラーライト、夜の安全を確保するために点滅して注意を促す。しかも充電不要。まだまだ、用途開発の余地はあります。



2012/12/06

色を学ぶ

私の担当する「色彩論」は、デザイン工学科2年生必修の講義です。プロダクトデザイン領域、建築空間デザイン領域、エンジニアリングデザイン領域全ての学生160名以上の受講者がいます。
15回の講義では、「色とは?」「色の歴史」「ゲーテの色彩論」「色彩心理」「カラーユニバーサル」「日本の色」等々、色についての知識を考えながら身につけてもらいたいと思っています。そして、最も重要視していることは、「明度」「彩度」「色相」と「混色」「配色」の理解です。そのために行っているのが宿題として出している「絵具の混色」や「色紙の配色」演習です。
普段、「好き嫌い」で語りがちな色について、論理的な理解をした上で表現の基礎を体験してもらいたいと思います。そして、楽しみは提出された演習レポートを見る、読むことです。私の出す演習レポートでは文章で説明することを求めます。色についても説明することが求められるからです。・・・しかし、160名のレポートに目を通すことの大変さを学生がどこまで理解しているか・・・



2012/12/02

小杉二郎の仕事R360

小杉二郎は戦後の日本デザインを牽引したひとりです。その仕事はミシン、ラジオ、ニッパーと多彩ですが、なんと言ってもマツダの自動車デザインでは素晴らしい業績を残されています。三輪車K360は今見ても愛らしく、T200は私の育った造船の町では工場を走り回っていました。そして、なんといってもR360です。
R360については、漠然と全体としてのスタイルを評価していましたが、小杉二郎のデザインを図面化。モデル化しておられた石井誠氏のお話をお聞きする機会がありました。石井氏のお話から小杉二郎のデザイン力、造形力の高さを再認識しました。
 

小杉二郎は、使用性能と生産性を考えながら常にデザイン提案していたそうです。その表現は、R360のフロントガラスが一次Rであること、フロントとリアのボンネットのプレス金型が同じであったこと、フロントランプとボディとの形状の繋がり、それらは今のデザイナーであれば、なんとしても自分の考えを押し通すことを良しとしたかもしれません。ものづくりの現状理解をしなやかに受け止めながら解を出していった小杉二郎のデザイン力があったように思います。今見ても素晴らしいデザインと造形力です。


 
 
石井氏のお話では、小杉二郎はクレイモデルを作成している現場をゴミを拾いながら、ゆっくりを見て回っていたそうです。きれいな作業現場から美しい造形が生まれるとの思いがあったのではないでしょうか。

2012/11/11

卒業研究中間審査会

11月10日(土)、デザイン工学科一期生、三領域四分野合同での卒業研究中間審査会が開催されました。
学生たちは、全員スーツ姿で主査と副査に説明し、厳しい質問にも答えていました。まだまだ、目的が不明確であったり、調査が不十分であったり、問題解決のアイデアに独自性が足りなかったりしますが、ここまで来ました。これからの活動に期待したいと思います。
プロダクトデザイン領域では、デザイン制作に加えて論文の課しています。論述することで目的を明確にし、結果までの論理展開をしっかりさせることができます。
制作については、モデルの完成度にも拘ってもらいたいと思います。

 
 
 
 
審査会後、増成研では、ものづくり実習としてタコ焼きの制作に挑みました。
 

2012/10/30

デザインと5S

大学院の担当科目「プロダクトデザイン特論」にパナソニック時代にお世話になった堅田氏を特別講師にお呼びして、「海外におけるものづくり」について、お話していただいた。
堅田氏は、ドイツ、アメリカ、中国で会社の設立、運営に責任者として関わった方です。お話の内容は、ものづくりにおける民族性、地域性の違いを実例を交えてして頂きました。

その中で強調されたのが、「5S」です。
ものづくり会社の基本は5S、この実践なくしては品質は良くならない。品質が良くならなければ生産効率は良くならない。効率が良くならなくては価格競争力生まれない。

これは、デザインについても同じではないかと思う。クリエイティブな職場だから自由な環境で・・・といって整理整頓もできず、挨拶もできないような組織では良いデザインが生まれるはずがない。デザインの甘さは、このことを後回しにしても許されると思っていることではないだろうか。

5Sは、大学におけるデザイン教育、特に演習等での指導に生かすべきと思う。

日本が生んだ日本的なマネージメント手法である。これからの日本的デザイン開発に生かさない手はない。



以下、wikipediaからの抜粋です。
「5S(ごエス、ごーエス)とは、製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるスローガンである。各職場において徹底されるべき事項を5つにまとめたもので、4S運動に「躾」(習慣化の場合もある)を加えた5項。
名前は、5項目のローマ字での頭文字がいずれもSとなっている事に由来する。5Sに基づいた業務管理を5S管理・5S活動などと呼ぶ。
①整理(せいり、Seiri) いらないものを捨てる
②整頓(せいとん、Seiton) 決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておく
③清掃(せいそう、Seisou) 常に掃除をして、職場を清潔に保つ
④清潔(せいけつ、Seiketsu) 3S(上の整理・整頓・清掃)を維持する
⑤躾(しつけ、Shitsuke) 決められたルール・手順を正しく守る習慣をつける
5S自体による効果は職場環境の美化、従業員のモラル向上などが挙げられる。5Sの徹底により得られる間接的な効果として、業務の効率化、不具合流出の未然防止、職場の安全性向上などが挙げられる。これは、整理整頓により職場をよく見るようになり、問題点などの顕在化が進むためであるとされる。
日本で生まれた概念だが、日本国外で用いられることもあり、「ファイブ・エス (five S)」と言う」

2012/10/18

三年生プロジェクト演習中間発表会

プロダクトデザイン領域プロジェクト演習の後期前半8回は、「スマート・モビリティ」をテーマに推進しています。グループ討議から個人テーマを見つけて、いろんな視点からのスマート・モビリティを提案します。
デザインは、あったらいいな!を見える姿にすることです。どれだけワクワクする魅力的なコンセプトとアイデアが出てくるか!これからが楽しみです。

 

2012/10/17

今日の「色彩論」は照明デザインについて

特別講師に照明デザイナーの高永祥さんを迎えて、照明と演色性についての講義、そして、高永さんがデザインされた作品の紹介をして頂きました。もちろん昨年同様にいろんな種類の電球を用意して頂き、実演しながらの分かりやすいものでした。
私としては、彼女が照明デザイナーになった経緯を話してもらいたかったこともあり、講義内容は少し早く終えて頂きました。その内容は、建築学科で学んでいた時に照明の魅力に魅せられ今の事務所に押しかけて行ったこと、、、思いがあれば実現する。講義の後で数名の学生が彼女の周りに集まっていました。

写しとデザイン

「写し」とは「書画を写しとること。模写」であり、模倣という言葉には創造的な意味が感じられないのが現在です。日本文化には写す行為から学ぶとともに、新たに創造的なものが生み出されるという見方があります。絵画や陶芸、書においては多くの事例があります。昨夜のテレビ番組に出ていた「大野鈍阿の茶器」もその一つでしょう。書画に比べて機能を有する茶器は、デザインされたものとも言えます。では模倣された茶器のデザイン価値はどこにあるのでしょうか。ここで思い出すのがヤング著『アイデアの作り方』の「アイデアとは既存の新たな組み合わせ」という言葉です。そうです。写す行為の中で新たな組み合わせが行われ、そこで新たなアイデアが生まれるのです。若いうちに沢山のデザインを写しましょう。新たなアイデアの創出のために。

2012/10/14

素材とグラフィックのデザイン価値

20年近く替刃を何度も交換して愛用したブラウンのシェーバーですが、最近どうも剃り心地が良くなくて、買い替えを考えていました。最近のコマーシャルを観ると水洗いできたり、除菌できたりと優れものが多いので電気店に行って来ました。そして、いろいろ比較して購入したのが写真のシェーバーです。剃り心地も良くて満足してますが、本体のプラスティッキーなこと、グリップ感がそのためにしっくりこない。それ以上に残念なのが本体に直に印刷された注意書きです。担当デザイナーはどこまで頑張ったのでしょうか。使用する生活者にとってのデザイン価値は細部にも存在します。

2012/10/13

デジタルスケッチ基礎

言うまでもなく、アイデアは手描きが基本です。ものを見る力、表現する力は手描きで養われます。しかし、デジタルスキルを無視することはできません。実際、デザインの現場でIllustratorとPhotoshop抜きに作業は進まないでしょう。学生の皆さん、デジタルスキルも身につけてください。

2012/10/12

デザイン演習はアイデアの数から逃げない

デザインの創造性は数から逃げないことから生まれます。これは魅力的なアイデアを生み出す上での法則です。
そこには、もちろん一つ一つのアイデアへの拘りも必要です。私のデザイン演習の進め方は荒削りでも良いから多くの解決案を出すことを第一にして、そのために調査、分析、発想法を学んでいきます。

2012/10/05

日テレ「おはよんニュースライン」出演

実は、少しだけ掃除機の歴史についてコメントする役回りで、日テレの朝の番組に出演しました。今年の6月26日のことでした。朝早い番組でだれも観ていないと思って黙ってましたが、久々に近所の電気屋さんに会ったら「観たわよ・・・」と言われて、恐縮です。

2012/09/20

2012夏 葉山セミナーハウスでのゼミ合宿

この夏、増成研究室では、芝浦工業大学葉山セミナーハウスで二泊三日のゼミ合宿を行いました。初日は鎌倉を散策して日本文化に触れ、その夜は海岸でBBQと花火、二日目はセミナールームで研究テーマについて議論、三日目は神奈川県立美術館見学。葉山セミナーハウスは葉山マリーナの目の前にあります。




2012/06/23

掃除機のはじまり

スペングラ電気式真空掃除機特許(No.889823


18世紀中頃からイギリス、フランスを中心に興った産業革命は、私たちの生活に多くの豊かさをもたらした。その中で、カーペットは、1785年にイギリス人エドモンド・カートライトが機械式織機を製造したことで大量生産が可能となり、価格も市民の手の届くものとなったことから多くの家庭で使用されるようになった。カーペットの普及は、住空間における埃や塵の発生となり衛生面で大きな問題となった。1860年前後には、埃を除く様々なアイデアが生まれた。例えば、「吹き込む(No.22488)」A.C.キャレイ、「回転ブラシ(No.24103)」H.デイビス、「回転ブラシ&吸込む(No.29077)」ダニエル・ヘスなどである。
これらの方式から、現在の(電気真空)掃除機が生まれたと言えるだろう。19世紀の終わり頃には、手動によって真空掃除機が製品化されたが、動力としては手動以外に水力、電力が使われていた。しかし、電力で動かすモーターはサイズが大きく、ホテル、デパート、鉄道ターミナル、個人宅の地下室において、吸入口は各部屋に設ける「固定式真空掃除機」か、馬車で牽いて街路に置き各家庭を清掃して回る「移動式真空掃除機」であった。
現在の掃除機に最も近い基本特許(No.739263)は、1905年にケニーが取得している。その後、1908年にスペングラが取得した電気式真空掃除機特許(No.889823)は、いとこのフーバーに売却され、1909年には製品として発売している。
1910年頃になっても、家庭用に手動蛇腹式掃除機が各種製品化されている。これらは電動式に比べて安価であったためで、通販等で販売されていた。1915年頃になると、電気モーターの小型化によって、真空掃除機の主流は電動式へと移っていった。この当時も掃除機の普及を後押ししていたのは、衛生面での意識であった。しかし、ここで問題となったのが、衛生面で公告されても製品のイメージは、モーターがむき出しの無骨なものであり、決して清潔感のある美しいイメージではなかった。
1936年、フーバーがヘンリー・ドレフェスにデザインを依頼して、150型真空掃除機を製品化した。このデザインは、マグネシウム合金とプラスティック使用して清潔感と軽さの実現し、形態のクリーンアップに成功し、販売に貢献した。これは、アメリカにおけるインダストリアルデザインの成功事例である。
日本におけるはじめての電気掃除機は、1931年にGEより技術供与されたものを東芝が製造発売している。