就活生にとっての本当の心得

就活を採用活動の視点で考える

12月1日、今日から2015年春卒業予定の大学3年生、修士1年生の就職活動が解禁されます。今朝の新聞の一面にも「採用上向き でも甘くない」の文字が並び、社会面には「企業求む
優秀人材」「海外からもライバル」とシューカツをメディアの話題にしています。

「今の就活は昔とは違う」という言葉も良く聞きます。しかし、基本はそんなに変わらないように思います。「就職活動」は企業側からみれば「採用活動」です。学生の皆さんも相手の立場になって自身の活動を見直すと本質が見えてくるのではないでしょうか。

企業は優秀な人材を探しています。当たり前です。私が前職で採用活動に関わっていた頃、冗談で「俺たちの退職金を稼いでくれる奴を採用しよう」と言ってました。40代、50代の人事課長、人員増の決済を通した部門の担当者にとって社業に貢献してくれ、結果として自分たちが退職する時に退職金が出せる(できるだけ多く)会社にしてくれるかは重要な問題です。ですから、冗談ではなく結構本気の判断基準です。

それでは、企業は具体的に何を基準にして採用活動をして、学生の何を見ているのでしょうか。当たり前ですが、個々の会社が求める人材を探しているのです。と言うことは、同じ業界でも各社の風土、商品戦略や戦術は異なるので、求める人材も異なるということです。だから、学生は企業研究が必要となります。

学生が志望理由で言いそうな「貴社の製品デザインが社会で評価されており、、、」「貴社はグローバルに展開されており、、、」「貴社の素晴らしい業務環境(インターンシップで良いとこだけを見てきて)で頑張りたい、、、」などという言葉を社会を知らない学生から聞きたいと思う採用担当者がいると思いますか。エントリーシートや面接でこんな文章や言葉を使用することで評価されることはないでしょう。逆効果はあったも。

次回のブログでは、「学生の企業研究について」。



学生にとっての「企業研究」とは

昨日、12月1日に就職活動が解禁になりました。実は採用活動の開始です。休日にも関わらず多くの会場で企業説明会が開催され、学生たちが集まったようです。地方から大学単位でバスをチャーターして都内の会場に来た学生も多かったようです。

企業説明会は、その名のとおり企業が自社の説明をする場です。「自社にとって有能で優秀な学生」にアピールする場です。学生にとっては、興味のある(実は名前を知っているだけの)企業についての情報を手に入れる場です。

学生が企業について知る機会としては、3年生の夏に各社が開催しているインターンシップがあります。しかし、これは企業の側から見ると「自社にとって有能で優秀な学生」を探す場でもあります。インターンシップを終えた学生の多くが「とても楽しかった」と言って帰ってきますが、それは当たり前です。企業にとってインターンシップで厳しく指導する必要はないからです。企業によっては学生はお客さんですから、「ブランドのファン」になってもらうことも目的だからです。

その他にも、企業ホームページや四季報、OB訪問などなど、一般に「企業研究」と言われますが、多くの場合は「企業勉強」です。 本当の意味での「企業研究」を行えば、エントリーシートでも面接でも企業の採用担当者に注目されるのは間違えなしです。

では、本当の意味で、学生にとっての「企業研究」は、何をすべきなのでしょうか。その企業の業種、業態によっても異なるでしょうが、学生にしかできない研究です。採用担当者や説明に駆り出されてくる社員が自社の製品について詳しいわけではありません。

学生、若者の視点でその製品の分解(ハード&ソフト両面で)評価したり、他社製品との比較評価を店頭観察や友人へのアンケートで行うことはできるでしょう。行った調査結果から学生にしかできない視点での考えを述べたり、提案ができるはずです。
ただし、自慢してはいけません。案外、企業から見れば当たり前のことかもしれませんから。大切なことは、取り組んだプロセスです。どのように分解し、観察し、分析したかです。

ここまで読んだ方には、わかっていただけたと思うのですが、ここでのプロセスは「卒業研究」と同じです。テーマを決めて、目的を明らかにするために対象、方法を計画して、結果がでるまで取り組む。明らかにならない場合は計画を見直す。実は、企業におけるPDCAのサイクルを回すことと同じです。

「企業勉強」ではなく「企業研究」して望めば、企業側も身を乗り出して、あなたの話を聞いてくれることでしょう。決して「貴社のホームページにもあるように・・・」などと切り出してはいけません。そんなことを学生から聞かなくともわかっているからです。しっかりと研究することで志望理由も明確になることでしょう。

注)「自社にとって有能で優秀な学生」とは
各社にとって学生の評価は異なることを意味します。同じ企業にとっても事業状況によっては、求める人材は異なります。企業は学校名や成績だけで評価していません。なぜなら、入社後の成績はそれだけでは決まっていないという事実があるからです。



学生の企業選びの本心は?

学生も大学も、もちろん学生の親も、有名な大企業に就職できることを望んでいます。指導教員としても嬉しいものです。

何故、有名大企業への就職を望むのでしょうか。その本心の理由によって採用か不採用が決まります。

有名大企業は給料がいい、潰れることもない、サービス残業もない、生涯安心と考えるなら不採用です。有名大企業の人事は優秀ですから、直ぐにわかってしまいます。

有名大企業は大きな仕事ができる、いろいろな経験ができる、学ぶべき先輩がたくさんいる、と考えるなら採用です。

採用担当者、面接官、企業トップは、会社で楽して愉しみたいと思っている人を採用しようとは考えません。

仮に、上手くいって採用されたとしたら、そのような学生を採用した人事は弱体化しています。きっと社内での人材活用も上手くいっていないでしょう。その会社は、あなたが入社後何年かで経営危機を迎えるかもしれません。

当たり前ですが、チャレンジする精神と行動力が求められています。



あなたの強みは何ですか?

就職活動で企業研究とともに必要とされるのが、自己分析です。自己分析は社会人が学生に求めるだけではなく、社会人にとっても必要なことです。企業説明会の壇上に立っている採用担当者も立場が変われば、上司や昇格面接官に問われていると思います。
 
さて、就活生の話に戻しましょう。エントリーシートや面接において「あなたの強みを書きなさい」「あなたの強みは何ですか」と聞かれて、元気に「はい、デザインです」「工学知識です」と、学んでいる題目だけを答える学生には、「あなたの強みは度胸ですね」と返したくなります。
「アルバイト経験です」「コミュニケーション力です」などと題目だけで答えられると、「それで、強みは」と聞き返したくなります。

「強み」とは、弱い強い、低い高い、少ない多いのレベルを伴うものです。そして、具体的な事例で説明できるものです。例えば、デザイン能力の高さを強みとしてアピールするために「数から逃げずに多くのアイデアを出せることです」と答えたら、「どのくらい出せるのですか」「どのようにして出すのですか」と、聞いてくれるでしょう。そうしたら、スケッチで分厚くなったファイルを開いて見てもらいましょう。そして、その成果を出すためにあなたが取り組んだプロセスを話しましょう。

教員の立場からすれば、「強み」は大学で学んだことを起点として欲しいと思います。なぜなら、学生は学ぶために大学に入学して講義、演習を受けているのですから。企業が働くためにあるように、大学は学ぶためにあります。(話が逸れそうなので、学校で何を学ぶか、社会、企業が求める教育は何かについては別の機会に述べたいと思います)

「強み」は、その成果を見せることができ、成果のプロセスを話すことができて、初めて認められるのではないでしょうか。すなわち、強みを活かした成果物を作ることです。間違っても偽装してはいけません。自己分析とは、自分の「強み」をつくる活動だと理解しては如何でしょうか。




就活スーツって何?

今日の話題は、就活生には有用ではないかもしれません。あくまで私見ですので、実行しない方が良いケースも多いことを先に述べておきます。

12月1日から採用活動が解禁になり、企業説明会が開催されていますが、そこには同じように黒のスーツを着た学生が列を作ります。会場近くの駅では群になって見かけることもあります。誰が決めたのでしょうか?あの個性のないスーツを。

私が知っている限り、会社側が黒のスーツを指定することはないように思います。その方が良いイメージを与えることができると忖度しての結果でしょう。これまで多くの企業説明会で採用担当者の方のお話をお聞きしましたが、大手通販会社の採用課長は「面接には自由な服装で来てください、我社は個性を評価し判断します」と言うのを聞いた以外には、肯定否定も聞いたことはない。採用側も特に気にしていないのだろう。

そもそも、採用活動は学生個々の能力、性格といったものを見つけ出そうとする行為のはずです。なぜ、服装に個性を認めようとしないのでしょうか。何時からでしょうか?以前は、グレーや紺のスーツも混ざっていたように思うのですが。今のようになったのは、大手のスーツ販売店が大々的なコマーシャルを打ってからかもしれません。背景には日本のビジネスマンの画一的なスーツ姿があるのかもしれません。

もし、企業側が「面接は、黒のスーツ以外でお越しください」と、ドレスコードを指定してきたらどうなるでしょうか。学生は、どんな服装がその企業に向いているかを考えるでしょう。その結果、どんな服装で来るか、採用担当者も面接の日が楽しみになります。似合わないスーツで来られるよりも、よほど、その学生の個性を判断できるでしょう。
企業の採用担当者の方に提案です。黒のスーツ以外での面接をしては如何でしょうか。個性を活かす人材が発掘できるかもしれません。あくまで私見です。



言葉づかい

就活がはじまると、大学や就活支援会社がマナー講座を開催します。
 
言葉づかい、挨拶、髪型、服装まで、微に入り細に入り指導します。外から見れば、ぎこちなく見えるのは当たり前です。形から入っているので、気持ちは伝わり難いのです。

しかし、社会人でも程度の差です。会社説明会で付いてきた若手社員が説明します「○○課長さんが、おっしゃていたように」と、大丈夫か?この会社、と思うか、大らかな会社と思うか、言葉の乱れは大変な状況です。

今の大学教育に、こういったレベルの教育を求めないでください。英語教育の前に国語教育の必要性を強く感じます。と言うか、語学の問題ではなく、社会理解の問題だと思います。

では、そう言う私は、どこで学んだのかと言えば、まだ学習中ですが、「これはおかしいかな」と言う疑問からです。すなわち、私たちの時代はまだ大多数の大人は正しい言葉を使っていたのです。社会が育ててくれたのです。

就活生の皆さん、にわか覚えの言い慣れない言葉をつかうよりも、自然体で少しづつ覚えて行きましょう。

言葉は、話し言葉だけでなく、書き言葉も同じです。

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