2014/05/06

スマイルのデザイン

84になる母を郷里の山口から呼んで、はとバスで東京見物をしてきました。バスが動き出して、可愛いガイドさんが話し出したときに持っていたマイクは、なんと20年近く前に私がデザインしたものでした。
 
メーカーの社内デザイナーとして、30年間製品デザイン開発に関わってきました。担当した分野はテレビ、カーオディオ、携帯電話などのAV、情報通信機器だったために、デザインしたほとんどの製品は既に市場にはなく、使われていないと思っていました。技術進歩の激しい分野の製品では仕方のないことですが、寂しいことです。
 
今回見つけたデザインは、バス用マイクとしてデザインしたものです。派手な商品ではなかったので、デザインしたことも忘れていました。しかも、前機種のマイナーチェンジでした。デザインの依頼内容は、音質を良くするためのデザイン変更で、背面(実はお客様に向くので正面)に、マイクの音抜きのための穴とフック用のビス穴を開けるというものでした。ブランドも変更したと思います。
 
背面の穴には一定の面積が必要で、位置も影響しました。どうしてもバランスの良くない所に穴が必要となり、もめたのですが、上手くレイアウトしてスマイル顔にしました。
 
華やかなコンセプトもなく、みんなが驚くようなアイデアでもないのですが、デザインには改善によって良くなるものがたくさんあります。
 
メーカーの社内デザイナーだからこそできるリデザインを、今も多くのデザイナーが日々行っています。改善のデザインの積み重ねこそロングライフのデザインを実現します。
 

 



 

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