2012/12/02

小杉二郎の仕事R360

小杉二郎は戦後の日本デザインを牽引したひとりです。その仕事はミシン、ラジオ、ニッパーと多彩ですが、なんと言ってもマツダの自動車デザインでは素晴らしい業績を残されています。三輪車K360は今見ても愛らしく、T200は私の育った造船の町では工場を走り回っていました。そして、なんといってもR360です。
R360については、漠然と全体としてのスタイルを評価していましたが、小杉二郎のデザインを図面化。モデル化しておられた石井誠氏のお話をお聞きする機会がありました。石井氏のお話から小杉二郎のデザイン力、造形力の高さを再認識しました。
 

小杉二郎は、使用性能と生産性を考えながら常にデザイン提案していたそうです。その表現は、R360のフロントガラスが一次Rであること、フロントとリアのボンネットのプレス金型が同じであったこと、フロントランプとボディとの形状の繋がり、それらは今のデザイナーであれば、なんとしても自分の考えを押し通すことを良しとしたかもしれません。ものづくりの現状理解をしなやかに受け止めながら解を出していった小杉二郎のデザイン力があったように思います。今見ても素晴らしいデザインと造形力です。


 
 
石井氏のお話では、小杉二郎はクレイモデルを作成している現場をゴミを拾いながら、ゆっくりを見て回っていたそうです。きれいな作業現場から美しい造形が生まれるとの思いがあったのではないでしょうか。

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