2013/11/02

デザインの模倣と創造

知人の井藤 隆志氏がデザインした自転車にコンセプトが類似している製品がグッドデザイン賞の上位賞にノミネートされています。彼のFBでの主張に対して多くの意見が寄せられています。全てが全面的な賛同ではないのはもちろんですが、「デザインに賞を与える」とは、どういうことであるかを考える機会を頂きました。

井藤 隆志のデザインした自転車
http://www.utilitebikes.com/photogallery/photo04.html

GOOD DESIGN BEST100の自転車
http://www.g-mark.org/award/describe/40034?token=xWZnc506gS

デザイン以外の賞についても同様のことは言えるでしょうが、あまり広げては論点がぼけてしまいますので、ここでは特に日本における工業製品のデザインについて、私の意見を述べたいと思います。まず、日本におけるGマーク制度のはじまりについて、日本デザイン振興会のHPにもあるように、制度のはじまりは、日本製品のデザイン模倣に対しての外圧に因るものです。日本は今の中国のようなデザイン意識であったわけです。残念ですが。

以下、日本デザイン振興会のHPより

「1)制度の誕生 「Gマーク制度」は、日本による外国製品の模倣という国際的な知的財産権問題を背景として、1957年(昭和32年)に設立されました。模倣を防止するには創造的なデザインを奨励するべきであるという考え方に基づくスタートでしたが、当時はまだデザインという言葉も一般的ではなく、企業でもほとんど実践されていませんでした。そこで審査員自身が街へ出て、「よいデザイン」探し出すことから始められたといいます。たいへんな労力と根気を必要とする選定でしたが、我が国の産業と生活を発展させていくためには「デザインがなにより必要だ」という強い思いが、この制度を生み育てていったのです」

「Gマーク制度」では、創造性が求められています。これは、デザイン行為の根源的かつ普遍的なものであると思います。

それでは、独創性とは何か。同時代を生きているデザイナーは、当然ながらその時代の社会に影響されながらデザインしているわけです。デザイナーが表現するモノは、何らかのかたちで時代の産物であると言えるでしょう。そのため、今回のような件も、コンセプトの類似から造形が生まれたと言えないことも無いように思えます。

しかし、待ってください。ここで大切なことは、もし模倣ではなく同様の発想から生まれたのであれば、先に製品化されたモノとの差別化をその時代の多くの人が理解するレベルで図るべきです。もし、意図的ではなく、知らなかったと言うのであれば、それはプロとして知らなかったことを恥ずべきであり、知った時、または指摘された時に真摯に対応すべきです。

工業製品のように大量生産品のデザインであればあるほど、デザインのオリジナリティに価値を与える(賞を与える)社会であるべきでしょう。

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