2014/03/16

食文化と調理家電普及におけるキャズム

日本では、どこの家庭にも電気炊飯器はある。世帯普及率は限りなく100%に近いのではないだろうか。

1955(昭和30)年に、東芝がはじめて自動式電気釜を発売してから、なくてはならない調理家電になった。その間、ご飯離れが話題になったこともあるが、世代を超えて日本人にとってご飯は大切な主食であり、電気炊飯器は必需品です。

日本では食の多様化が進み、食の欧米化においては、学校給食でのパン食が果たした役割は大きいが、家庭では食パンを買って来るのが基本です。日本人がパンを嫌いでないことは、町に多くの美味しいパン屋があることからも分かります。

ホームベーカリーは、1987(昭和62)年に松下電器より発売され現在まで何度かのブームはあったのですが、炊飯器のような地位は獲得できていません。実際に家庭で使うと、焼き立てパンの美味しさは格別ですが、炊飯器のように普及はしていません。

そこには、食文化がキャズム[注]として存在します。

どんなに便利な家電製品になっても、キャズムを乗り越えるためには、技術的な課題以上に食文化の変化を起こし定着させる必要があります。経験の提案を生活の一部にするには長い時間が必要です。
 
 
 
 
[注]キャズム理論(キャズム理論)(大辞林より)
〔キャズム(chasm)は「隔たり,溝」の意〕
革新的商品やサービスが市場でシェアを拡大する過程で,容易に超えがたい「溝」があるとする理論。


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