2014/03/31

ホンダN360とN1

エイドリアン・フォーティは、工業製品を「欲望のオブジェ」と呼びました。その最たるものが自動車です。乗っている自動車は、その人の生き方、ライフスタイルを表すものです。その背景には、育ってきた過程での記憶、憧れがあり、現在の社会的地位の生き様があります。

1967(昭和42)年の初夏、造船の仕上師(エンジンの分解組立職人)をしていた父が、ボーナスを頭金にして大喜びで買ってきたのがホンダN360でした。一生一台の買い物だったと思います。自動車が大衆にも手の出るものになった時代でした。

N360の「N」は、「一説に「乗り物(Norimono)」の略とされ、当時の社長本田宗一郎が、ミニマム・トランスポーテーションとしての普及を目的としたことによるネーミングとされている(wikipedia)」と言われています。N1の広告にも、その考えが反映されています。

2012(平成24)年11月、N360から45年経って発売されたのがホンダN1です。デザインコンセプトはN360と同じに、現在できることを実現したところが素晴らしいです。ホンダファンにとっては、「ホンダらしい」と喜んだことと思います。誰がN360を生んで、だれがN1として甦らせたのかを、意匠登録から見てみました。

N360は、意匠登録290139で1966(昭和41)年7月25日に出願されています。デザイナーの名前は、宮智英之助です。N1は、意匠登録1446086で2011年10月31日に出願されています。デザイナーの名前は、蔦森大介です。両名ともお会いしたことはありませんが、敬意を表します。

良いデザインは、復刻ではなく甦らせることで時代を超えて評価されるものになります

 


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