2013/12/23

松下幸之助のデザインマネジメント

戦時下の1942(昭和17)年10月30日、松下幸之助は、社主達示として以下の7項目を全社員に向けて発信しました。今のデザインマネジメントにも通じる内容です。
特に、第一に要請した「製品は親切味、情味、奥床しさ、ゆとり」は、日本デザインを世界に発信するためにも重要な視点でしょう。

製品劣化に関する注意

時局下各種統制強化に伴ひ、資材、素材の關係に困難なる點あり、代用品の使用、仕様の變更等を必要とすることあらんも之れが爲に製品自體を劣化せしめるが如き事ありては一大事に有之候間如何に代用品を使用する共仕様に變更を加ふるとも其の製品はより良き成果を得らるゝ様特に左の各項に留意されて松下電器製品は如何なる見地よりするも斯界に於て其の優秀性を保持する様考案相成度候

一、製品は親切味、情味、奥床しさ、ゆとりの多分に含まれたるものを製出し、需要者に喜ばれることを根本的の信念とすること

二、經営の本諦を誤り利潤に捉はれ資材の用法、製品の仕様、工作の方法等に無理を生ずるが如き事にて製品を劣化せしむること往々あり特に此の點に留意すること

三、常に業界の動き及び市場に關心を持ち同業者の商品と當社の商品との比較研究調査をなし、如何なる微細部分だりとも遜色なきものゝ製出を期すること

四、各種の統制強化され資材其他に相當困難はあらんとも、之にこだわり資材の節約を敢てし自然と製品の劣化を來すが如きことのなき様注意すること

五、ナショナルのマークはその製品が押しも押されもせぬ誇りを標示するものなることを念頭に置き寸分の隙なき製品を以てすること

六、製品の物的要素たる資材、工具は時局下統制時代何れの業界も同様の視方あらんも心的要素たる作業員の動作はその指導訓練に依つて格段の差を生ずべく、特にこの點に關心を持つこと

七、如上の諸點より顧みて微細たりとも心當りあらば如何なる犠牲を拂ひても立所に是正改善の策を樹つること

1995年元旦の新聞広告

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